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「…く、っ…!」
「イセリナ様、たった今確認したところ…どうやら、この攻撃は我々の想定を上回る規模で行われているようです」
アルフレッドが、端末を操作しつつ、言葉を続ける。
「現在、同じような交戦が、この宇宙群のあちこちで発生しております。
正体不明の機動兵器と、それが出現した世界、宇宙の軍隊、及び、そこを訪れていた旅人達が交戦中…その多くが、劣勢です」
言葉は冷静だったが、その表情には焦りの色が見えていた。
無理もない。このような状況、長く旅を続けてきた彼らでも経験した事がないのだ。
「…そん、な…!」
こんな時、『彼女』がいてくれたら。イセリナは、そう思った。
…しかし、直後にその思考を切る。
『彼女』は、その使命を最期まで全うし、眠りに就いた。もう、『彼女』はいない。
今、ここを守れるのは自分達だけなのだ。
イセリナは、目の前の状況に可能な限り対処する為に思考を巡らし、口を開いた。
「…ルーク!話は聞いてたね!?」
「ああ!」
立ち塞がった敵を真っ二つにしつつ、ルークが応じる。
「現状の面子で一番強い力を持つのはルークだよ!可能な限り急いでそいつらを片付け、他に敵が降下した場所に向かえる!?」
「敵はなかなかの手練れ…負ける事は無かろうが、すぐに全滅させるのは少々厳しい…と、言いたい所だが…状況が状況だ。
『あの時』と同じく、この宇宙群自体の危機なのだろう?
我が友が作り出し、我が恩人が命懸けで愛したこの宇宙群だ…身を挺してでも守り抜いてみせる!!
…よって、その申し出、受けた!我に任せよ!!」
ルークの力強い咆哮と共に、ルークとの通信は切断された。
「…頼んだよ、ルーク!私も、こっちが片付き次第、他の宇宙に向かう!!
カーメン!聞いてたね!?ルークをそっちに向かわせるよ!!その時まで、何とか時間を稼いで!!」
その言葉に、ファラオ店長は苦笑した。
「随分と無茶を言いやがる…だが、状況が状況だ…何とかしてやろうじゃねえか!
…矢作警部!まだ生きてるか!?」
ファラオ店長が、モニターの横を向いて叫ぶと、声が返ってくる。
「ああ、どうやら注意はこっちに向いた!行けるぞ!!」
「上等!!…んじゃ、リーダー!生きてたらまた会おうぜ!!」
ファラオ店長との通信が切れる。
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