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空間の壁を突き破って、何かがジオカイザーへ襲い掛かる。
「…な、っ!?」
ジオカイザーは咄嗟に斧で防御したが、『それ』の勢いは尋常ではなく、衝突した二機は、地面へと突っ込んだ。
「イセリナ様!?」
「ぐっ…こ、のぉっ!!!」
ジオカイザーは、地面を引きずられながらも、『それ』の突進を辛うじて受け流し、再び飛び立つ。
イセリナは、『それ』を改めて睨む。
『それ』は、見た目、今まで交戦していた敵と同じ技術体系の構造を踏襲しているように見える。
しかし、基本的な構造を踏襲しているだけだ。その禍々しさ、どこか悪魔的にすら感じられる容姿、
特徴的な胸部の砲門、そして手に携えられた不気味な形状の大鎌は、今までの機体とは明らかに異なる。
何より、『それ』から放たれる威圧感は、人の、そして人の生み出した機体の放つそれではなかった。
そして、エネルギー反応から、敵の力はジオカイザーの出力の限界を遥かに上回っている事が分かる。
どうやら、これが敵の『切り札』らしい。
「…これは、厄介だね…」
と、言い終わる間もなく、『切り札』はジオカイザーへと追撃をかける。
「…くっ!」
大鎌と大斧が激突する。
…直後、ジオカイザーに衝撃が走る。
「速い…ッ!?」
敵は、一撃の衝突の瞬間に大鎌を引き、次の一撃を叩き込んでいた。
そして、『切り札』は、そのまま更に加速し、凄まじい速度で追撃を叩き込む。
「そう、何度も!!」
ジオカイザーが、次の追撃を大斧で受け流す。
『切り札』は更に攻撃速度を加速させていく。
反応速度は追いついていないが、ジオカイザーはそれでも一撃一撃を的確に防ぎ続ける。
…しかし、それで精一杯なのだ。相手に、反撃可能な隙が全く無かった。
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