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一方、『切り札』は、それとはまだ少し離れた所で急に足を止めた。
一体何をするつもりなのか…それは分からなかったが、少なくとも言える事がある。
「今なら、追いつける!!」
ジオカイザーが、足を止めた『切り札』へと追いつき、その横を追い越した。
しかし、イセリナは、『切り札』の胸部に集まる光を見て、青ざめる。
「…な…その…攻撃は…!!」
『切り札』から確認できる異常なエネルギー反応、そして、その胸部の砲身に集まる、まるで光と闇が反転したかのようなエネルギーの塊。
そのエネルギーから、イセリナはそれがどんな兵器なのか瞬時に判別し、『切り札』が何をしようとしているのかを理解したのだ。
「…次元閉鎖…破砕砲…!!」
かつての戦闘でも使用されたイセリナ達の母艦である要塞戦艦ズィルヴァンシュピスの艦首にも搭載されている、
人類が使用可能な武装の中では究極と言ってもいい破壊力を持つ武装だ。
射線上の切り取られた空間の中に閉じ込められた物体を、その内部に満たされた莫大なエネルギーによって、閉鎖された内部の空間ごと分解、消滅させる。
本来、人間には戦艦に搭載するレベルのサイズが限界であり、それを機動兵器に搭載するような技術力は、少なくとも、長く旅を続けてきたイセリナですらも聞いた事は無い。
しかし、『彼女』を含め、宇宙群を守護する生命体である『鍵』や、宇宙群を創造する力を持つ神とも言える『究極生命』は、それと同レベルの武装を平然と行使していた。
…やはり、敵は人間の領域を超えた存在だ。
この一撃が帝都に撃ち込まれれば、帝都の中枢は跡形もなく消し飛ぶだろう。
「…けど!!」
…まだ、出来る事はある。ジオカイザーが、『切り札』の射線を遮るように、斧を構えて立ち塞がる。
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