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けど、とイセリナは続ける。
「…封印して早々でちょっと悲しいけど、ズィルヴァンシュピスを起こしておく必要があるかもしれない」
「確かに、妥当な判断かと…カーメンにも連絡を入れておきます」
「うん、お願い…何もなければそれに越した事は無いけど…お姉ちゃんは、もういないんだから」
そう、イセリナ達は、半年前の戦いで、鍵ならざる鍵だった『彼女』と共にアルセントを守る為に戦った、
世界から世界、宇宙から宇宙、果ては宇宙群から宇宙群を渡り歩く『旅人』達だった。
そして、イセリナが今いる宮殿は、鍵ならざる鍵である『彼女』に献上されたものであり、
今は、人の欲望が増幅されて生まれた化け物である『異形』を討伐する為の、アルセントにおける拠点として利用されているのだ。
特にイセリナは宮殿に寝泊まりしながら、アルセント中を渡り歩いて異形を討伐していた。
「…旅を再開するにしても…全てが終わったのをきっちり見届けてからじゃないと安心して旅立てない。
…ここは、お姉ちゃんが命を懸けて守った宇宙群なんだ…」
イセリナは、静かに続ける。
「…この『夜明け』、誰にも閉ざさせはしないよ…!」
イセリナの言葉に、アルフレッドもまた、何も言わずに深く頷いた…。
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