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イセリナは、冷や汗をかきつつ言葉を紡ぐ。
「まずい…性能的には大差はないけど、パイロットの境界空間航行用機動兵器を扱う練度が違いすぎる…騎士団の機体を下げて!」
「な、イセリナ様…それは一体どういう…!?」
「いいから早く!もし本当にそうなら相手は間違いなく境界空間航行用機動兵器の専門家だよ!
まともに戦ったら勝負にならない!下手すれば皆殺しだよ!?…大丈夫、私が出る!
それと…エーリッヒは先の戦いで私達が動かせるようにした皇帝専用機…乗りこなす自信はある?」
歴戦の勇士であるイセリナのここまでの焦燥、エーリッヒは、今騎士団が対峙している相手がどれだけの相手なのかを悟る。
エーリッヒは、それを踏まえた上で、静かに言葉を紡ぐ。
「客観的事実から申し上げるならば、乗りこなせるという保証はできません。
しかし、力及ばずとも、私とて仮にも首都を守る騎士団の長…もし乗れと命じられたならば、我が誇りにかけて必ずや乗りこなして御覧に入れましょう…!」
「良く言った!その言葉、信じるよ!あの機体の使用を許可する!相手の練度から考えて、正直、あれくらいの性能の機体じゃないとどうにもならない…!」
その言葉に、エーリッヒは敬礼で応える。
「了解!騎士団に後退を通達!地下に格納中の皇帝専用機に搭乗後、出撃します!!」
その言葉に、イセリナは頷く。
「私はジオカイザーで先に出てるよ!」
イセリナは、そう言って通信を切断し、自らの端末を操作する。直後、部屋の窓の外に巨大な機影が姿を現した。
「ジオカイザー、力を貸してね」
イセリナは窓を開けると、空間を超えて降り立った自らの愛機『ジオカイザー』のコクピットへと乗り込む。
「…行くよ!!」
その、継ぎ接ぎにも見える無骨な巨体が、夜空へと飛び立つ。
遥か向こうに戦火が見える。ジオカイザーは、その戦火へと猛然と加速していった…。
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