影一つ

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「なあツバサ、バスケをして疲れたから話でも しようぜ」 「そうですね。自分も疲れました」 「勇気さんはここで一人で 暮らしてるんですか?」 この家の大きさを見て一人で暮らしているとは 思えないのだ。 「一人暮らしだよ。両親とは離れて暮らしてる」 勇気さんは暗そうな顔で述べた。 「ツバサは何才なんだ?バスケでこれくらい上手 だと同世代で知らないはずがないんだけどな」 勇気さんが何を言ってるのか分からなかった。 自分はまだ記憶喪失なのだ。 「覚えてません」 一言、口に出すと勇気さんはすまんと謝った。 「海外に行ってたわけないか、 それなら日本語ペラペラなはずがないよな」 半ば独り言のように勇気さんは述べた。 「勇気さんは何か自分に関して気付いた事 ありますか?」 勇気さんは低い声で、特に何もない、と述べた。 お互い何も喋らず、静かな時間が過ぎていった。
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