影一つ

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勇気さんは思い出したように、 椅子から立ち上がった。 「ツバサ、夕飯の材料がない。これから買って 来なければならない」 「なら、自分も連れてってくれませんか?」 自分が申し出ると勇気さんは迷った様子でいた。 「ツバサはここで留守番をしてくれないか?」 「一緒に行けば、何かまた記憶へのヒントが 得られるかもしれないですよ」 勇気さんは迷った末、許可してくれた。 勇気さんが先にドアを出て、後から付いていく。 勇気さんが靴を履いている時、玄関の右に階段が あるのを気付く。 「勇気さん、二階には何があるんですか?」 何故か知らないが気になる。 「二階には俺の部屋と物置がある。それだけさ」 勇気さんは履き終えて、ドアを開けて外に出た。 自分も靴を履こうとしている時、玄関の右側に 飾ってある写真が気になった。 さっきは勇気さんを見ていて気付かなかった。 写真には勇気さんともう一人の男性 がサッカーボールを持ているのが映ってる。 「勇気さん、写真の人物は誰ですか?」 「俺の弟だよ」 勇気さんは俯いてこたえた。
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