影一つ

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「確か、そうだったな」 勇気は一段と低い声でこたえた。 「そして、勇気は弟を失った悲しみで、 引きこもるようになった。その時、勇気は友達 を作った。それが自分だった。もちろん自分は 妄想上の存在だったけど、勇気は自分と話す内に 、元の明るい人間に戻っていった」 「そんなはずがない。俺は一人の力でここまで 明るくなれた」 勇気は激しい剣幕で否定した。 「そう思うのも、無理はない。勇気はこの記憶を 封印しようと、してたから。 だから自分が生まれた。この世界に」 「冗談は止めろ。ツバサ」 「自分はあの公園で生まれた。だから、記憶が なかった。ただ、忘れていたのは、 さっき、話した事と使命だけ」 少しずつ、 勇気に近づいていく。 「本当に、ドッペルゲンガーなのか。 違和感を感じていたが、考えたくなかった」 「でも、事実だよ。自分は勇気をこことは違う 世界に連れて行く、使命がある」 勇気の背後に立った。 「なあ、ツバサ、お前がドッペルゲンガーなら、 周囲の人とは会話しないはずだぜ」 「その通り。だから、勇気以外は自分とは 会話をしていない」
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