デジャブ

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勇気さんは思い出したように述べた。 「そうだった。 俺は大学にレポートを提出するんだった」 勇気さんは焦った様子で 鞄の中を見て安堵した。 「良かった。ちゃんとレポート入ってたよ。 大学はこの公園の坂の上にあるんだ。悪いけど、 一緒に付いてきてはくれないか?」 そうか。ここは公園だったのか。 だからベンチがあったのか。一人で納得していると 「おい、ツバサ!!話聞いてたか? どうする?一緒に行くか。 それともここで待ってるのか。どっちにする?」 勇気さんはせかすように、自分に訊く。 「自分は一緒に行きたいです。 一人だと心細いです」 自分がこたえると、勇気さんは笑顔でこう述べた。 「そうか。付いてきてくれるなんて嬉しいよ。 大学まではここから近いからすぐだよ」 勇気さんはゆっくりと歩き出した。 その後ろを一定の間隔を開けて付いていった。
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