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坂は緩やかな傾斜で、歩くのは厳しくなかった。
勇気さんは心配そうに、時折振り返っていた。
そのたび、自分は手を振って合図した。
坂を上る途中、時計を見ることができた。
時計の針は10時を示していた。
坂を上り終えると大学の大きな門が見えた。
「ツバサ、ここが俺が通う大学だよ」
勇気さんは自慢げに述べると、門の目の前に
立ってるおじさんにあいさつをした。
自分もそれにつられてあいさつすると、
「おはようございます」
多少は驚きながらも陽気に返してくれた。
門をくぐると、そこには立派な建物が
聳え建っていた。
自分はここに来たことがある、
そんな気がしてならなかった。
それを勇気さんに伝えると、
真剣な顔で訊いてきた。
「ツバサ、それは本当か?」
「まだ、正確な事は思い出せないけど、
ここに来た事がある気がする」
勇気さんは、暫く考え込むと自分に提案してきた。
「じゃあ、一緒に建物の中に入って
教授に会おう。
その後に事務室に行って確かめよう」
確かに建物の中に入れば
思い出せるかもしれない。
うん、と頷いて二人で建物の中に入ってゆく。
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