カヒムという少年

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さて、トールとカヒムはアフリカにある小国に連れていかれました。 飛行機の中でカヒムはトールにたずねます。リーダー格の男が言った意味が、よくわかっていませんでした。 「トールさん、どうして今から行く国の戦争って終わらないの?」 「誰かが戦争がいるものだと、考えて行動しているからだよ。その人たちにとって、平和はいらないものなんだ」 「そうなんだ……じゃあ、どうして責任者がいなくちゃいけないの?」 「誰かがいるものだと思って、実際にそうしているんだ」 「でも、今から行く所は戦争が終わらないんだよね?」 トールはにっこり笑います。 「いつかは終わるさ。だけど、カヒム君が死ぬ前にはきっと終わらないだろう。そういう意味で、君が紛争の責任者となっても、責任を取ったりはしないだろう」 やはりカヒムにはさっぱりでした。 でも、なんとなくですがどうして世界中から戦争がなくならないのかはわかったような気がしました。 ここで異変が起こります。 パララ、パララと上空から銃撃音が鳴り響きます。 機体はコントロールを失って海に落ちようとしていました。
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