カヒムという少年

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カヒムは交換した、期限切れのサービス券を手にして、近くの公園でぼんやりしていました。 日付が過ぎたサービス券、これが世界で一番いらないものなのかな。 ベンチに座っていたカヒムは、深いため息をついた大人の人を見つけます。 大人はくたびれた背広を着て、とても暑そうです。 「はあ」 「どうしたの、おじさん?」 「会社をクビになってしまったんだ……はぁ」 「仕事がなくなっちゃったの?」 「そうだよ……君みたいな子供がいるんだ。3人も、一体どうしたらいいんだろう。ところで君はなにをしてるんだい?」 「ぼおっとしてる。世界で一番いらないものが欲しいんだけど、このサービス券よりもいらないものがあるかなーって」 「ちょっ、ちょっとそれを見せてくれないか……この店は親友が経営している店舗の1つだ。……君、名前は?」 「カヒム」 「俺はジェリコっていうんだ。カヒム、ありがとう!親友を頼ってみるよ……目の前が真っ暗で自分を愛してくれる人を思い出せた!」 「そうなんだ。その券に電話番号書いてあるから、おじさんにあげるね」 「ありがとう……ありがとう」背広の男は涙を流しています。 「じゃあ、僕はこれで」 「ちょっと待って。カヒム、君に礼がしたいんだが」 「それなら、世界で一番いらないものをちょうだい」 「いらないもの……なら、これをやろう」 ジェリコは鞄から、一枚の紙をカヒムに渡します。 「ジェリコさん、これは?」 「請求書さ。もっとも、法に反した内容だから訴えもできない。まったく、いい気味だ。人を人と思わんヤツだったからな」 カヒムはジェリコから、請求書をもらいました。
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