アニバーサリーイベント

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 早朝、宿舎の廊下がいつもより騒がしかった。  普段は講義や訓練施設へ向かうために速やかに通りすぎるだけの何の変哲もない廊下だったが、今日は多くの生徒の溜まり場と化していた。  昨晩遅くに帰ってきた私には寝耳に水だった。壁越しに聞こえてくる会話から察すると、今日からアニバーサリーイベントが始まるらしい。  一体何をするのか分からないが、イベントと聞いて興味のない生徒は少ないらしく、彼らの話題はイベント一色だった。  これから開会式が行われるらしい。窓から校内を見下ろすと、生徒たちが一方向へ歩いていく姿が見えた。  今日は特に予定を入れていないので、開会式に顔を出してみるのも一興だろう。  開会式は学園の最も広い校庭で行われる。会場には紅白リボンやのぼりがいくつも飾られ、一際高くなった壇上に向かって真っ赤な絨毯が敷かれている。生徒たちは中央の絨毯の両脇に分かれる形で並び、式が始まるのを今か今かと待っていた。 「レディースアーンドジェントルメーン!」  金髪ツインテールが激しく跳ねる。本体も背の低さをカバーするように跳びはね、それはまさにウサギだ。  高らかな声を響かせて壇上に上がってきたのはミーアだ。騒然とする生徒たちを前に、オーケストラの指揮者のように手を振り、静まるように指揮しているらしかった。ただ、最後尾の私にはかなり見えにくい。 「おはようございます。朝早くから集まって頂いたのは他でもない。そう! アニバーサリーイベント!」  わっと沸く歓声。  女子の黄色い声と男子の雄叫びが入り交じり、周囲の音がまるで聞こえなくなるほど騒がしい。  人の群れで前方がよく見えない私は爪先立ちで壇上を見ようとした。何を言っているのか分からなくとも、これから何が行われるのか見ておきたかった。
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