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「やったー!」
「おぉ、意外とやるじゃないか」
「意外ってなによ」
「いやー、ネコから寄生して学年を上げたって聞いたから」
「ふっ、おっしゃる通りよ! 今までの試練では突っ立ってただけ」
「ダメじゃねーか!」
私はウィルバーとエリシアの会話に苦笑いしながら、鎧の男が投げた飛散解毒薬を受け取った。兎に角、解毒だ。
「パーティ名、ウィルバーと愉快な仲間たち。君たちは見事勝利をもぎ取った。そして、エリシアくん。六年生へ昇級おめでとう。これからも一層励むように」
鎧の男はエリシアに星形の"Ⅵ"と刻まれたバッヂを渡し、足早にどこかへ行った。バッヂを受け取ったエリシアは襟に付けながら満足そうな顔をしていた。
「やった。やっと六年生だぁ。あと少しで卒業できるわ。あ、次も頼むね」
エリシアは私とウィルバーを交互に見てウインクした。すると、ウィルバーはまんざらでもないようで「任せとけ」と答えながら胸を拳でドンと叩いた。
私はクラーケンの周りに落ちているグレートソードやグラディウスを拾って、二人に要るか?と聞いた。だが、二人は揃って首を振ったので戦利品は私の総取りとなった。
「さぁ帰るか」
ウィルバーは先にお暇するようだ。欠伸をしていたからこれから一眠りするのだろう。
エリシアは制服を気にしながらその後ろを付いていこうとした。しかし、思い止まって私のほうに振り向いた。
「六年生の試練、このパーティで行けるかな?」
「無理じゃないかな」
「え? なんで?」
「エリシアが未熟だから」
「もぅ、ハッキリ言うのね」
「オブラートで包まないスタイルなもので」
「ふーん。じゃー、負けないためには何が必要?」
「まともな防具とやる気。今のままだと単位貯めるのでさえ苦労すると思うよ」
「まぁ、もう一人パメン増やして、三人が戦っているときに後ろでずっと倒れているだけという手もあるな」
「それはなんかイヤね」
「イヤなら訓練するべしー」
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