夢の続き

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 翌朝、まぶた越しに見える赤い陽の光に起こされ、私は毛布をはね除けてベッドに座った。  昨日は暗くて分からなかったが部屋の中には物が溢れていた。よく躓かなかったものだ。  クローゼットにはスカラーセット、インペリアルガードセット。鎧立てにはヴィキングセット、カインセット。それに数本の槍と斧、杖が立て掛けられていた。  チェストの中には数種類のフードと回復薬、それにアクセサリーの類いがぎっしりと詰め込まれている。お金を入れた小袋を確認すると70万zelあることが分かり、意外とお金持ちだったらしい。  さてさて、何をしていたんだっけ。昨日のウイルバーとの会話で魅惑の花弁がどうとか自分で口走ってたことから、学年は4年生以上だろう。確か、Fー6湿原は4年生以上じゃないと入れなかった気がする。  それにしても物々しい装備だな。スカラーブレザーはおいといて、ヴィキング装備やカイン装備など、接近戦向けのものじゃないか。おまけに槍や斧など。私は前衛だったのだろうか。  ま、物思いに耽っていても仕方ないな。やり残したことが何か分からないし、適当に出歩いてくるかな。  部屋の扉を閉めて鍵を掛けたか確認し、まだ冷気が残る空気を肺いっぱいに吸い込み、そしてむせる。自分でも何やってんだとツッコミたくなるが、誰も見てないからいいかと開き直った。  とにかく、飯だな。食堂があったはずだ。  早朝の食堂は昼とは違い、比較的空いていた。学生服を着た男女が疎らに席に座り、パンと何らかの肉とスープをすすっている。  私も皆に倣い、食堂のおばちゃんから朝食を受け取り、空いている席に座るのだった。  それにしてもだ。朝から丸虫の肉はないだろう。しっかり焼かれているとはいえ、未だ原型が残るこの食材は、胃が受け付けるかどうか怪しいものだ。これならハギス肉のほうがと考えたが、どっちもどっちだと思い直した。
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