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つまり、後衛と変わらないということだ。
折角、敵を一撃で粉砕できそうな武器を持っているというのにそれを活かせないとは、もったいない。
まぁ、いい。彼には後ろで掃除をしてもらおう。
私はマイバッグの奥底から最近手に入れたばかりの槍を取り出し、その穂先に刻まれた幾何科学的な紋様を眺めた。
青白く光る刀身は槍にしては太く、どちらかといえば剣に近い。穂先の色だけ見れば青龍槍によく似ているが、こちらのほうが武器らしいだろう。確か古代の剣だと教えてもらったな。
「それ、なんかカッコいい武器だな」
ウィルバーは目をキラキラさせて、私が構えた武器を見つめる。カッコいいというか、廚二病的な剣だからだろう。
「なんていう武器なんだ」
「マチェリー・エルベニーア」
「聞いたことないな」
「私もだ。ぶっつけ本番で使う」
槍とも剣とも見える武器の柄を右手で掴み、遠くから近づく包帯男を視界の中央に捉えた。
こいつは確か守衛だ。体力と力は強かった気がする。
「うへぇ、死霊ばっかりだな」とロイが独りごちたとき、既に私は守衛に向かって走り出していた。
守衛が私の接近に合わせて両腕を振り上げる。死霊とはいえ、力は強力だ。むしろ、死んでいるからこそ力の制御ができないのかもしれない。
だが既に七年生の私は死霊がそう行動することを解っている。何度も通った施設だからだ。
相手の攻撃が届かない距離から手首のスナップを活かして素早く突く。それは守衛の心臓を易々と貫くが、それだけで動きが止まるわけではない。
奴らを止めるには頭を叩く。そのために、私は槍を素早く引き抜くと喉笛目掛けて槍を素早く突いた。
元より崩れそうな体だ。この槍の一突きで守衛の首は皮一枚になり、支えきれなくなった頭がボロッと取れてしまった。
そこへロイの一撃が振り下ろされる。頭を失ってまごまごしていた守衛は巨大な戦斧によって体を真っ二つにされた。
「余裕だったな。でも、俺だってあれぐらいできる」
ウィルバーは負けじと拳を握り、力を込める。あっさり倒されて悔しいと見える。
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