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「そんなところでよく寝れるな」
「どうせ、まだ行かないでしょ。リラックスリラックス」
自分の卒業試験がかかっているのにこの緊張感の無さ。これは完全に後ろから援護するだけのつもりだな。
「さて、本題に移ろう。ウィルバーは七年生だから知ってると思うが、ここのボスはバランスに富んだチームだ。アイテム使いのメディア、剣使いのミストレス、斧使いのゲイリー、術使いのバルザックだ」
「おお、ネコさん、軍師っぽい」
「……茶々を入れると話が進まないよ」
「あっ、はい」
「まず、注意すべきはバルザック。このジジイは反射がかかっている。なので迂闊にファイアストームを唱えると一部自分に返ってくる」
「えー、じゃあ、術が使えないじゃん」
「なので定石だと、術使いが自分に影響のない補助系の術を相手にかけて反射を解除する。例えば、ダルネスとか。ダルネスなら相手の前衛の弱体化も同時にできるからとても効果的だ」
「えー、わたし闇属性使えないよ」
「エリシアならアーマメルトかな。熱で相手の装甲を溶かす」
「なーるほどっ、でも、わたしにも跳ね返ってくるんだよね? 打たれ弱くなるってことだよね?」
「そうだけど、元々紙装甲だから問題ないんじゃないの」
「うう、なんか嬉しくない」
「そして、その後は私ら三人で前衛を斬って叩いて突きまくる」
「え? わたし、活躍なし?」
「反射が解除されたら術をぶっ放しても大丈夫だよ」
「でも、さっきまでの戦闘見てると三人がほとんど片付けちゃいそうだけど」
「かもしれない」
「えー、わたしも戦いたいなぁ。わたしの卒業試験なんだよ」
「えー……、いつも見てるだけがいいって言ってるくせに」
「だって、その話を聞いてると余裕そうな気がする」
「でも、三人で前衛を倒せても後衛から総攻撃を受けるよ。そのとき、エリシアが援護する形になるんじゃないかな」
「援護……」
そう呟くと、エリシアは体を起こして三角座りで考え始めた。ときどき私らを見ては自分の杖を凝視する。もしかして、作戦を練っているのか?
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