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「その通りだ、ひよっこども!」
ゲイリーは全身鎧を身に付けているにも関わらず、素早く接近し、斧を横凪ぎにする。
その一撃をロイが慌てて斧の刃で受け止めるが勢いが殺せず、斧ごと弾き飛ばされてしまう。
「なんだ? その図体は飾りか? 頼りねぇな」
貶されてムッとしたロイは直ぐに起き上がったが、最早ゲイリーはエリシアの前にいる。
「六年の試練は初めてか? だが容赦はしない」
「わたしもよ!」
エリシアのマシンガンの銃口が火を吹いた。耳を塞ぎたくなるような激しい音が連続して響き、ゲイリーの鎧に銃弾が当たる。
だが、ゲイリーは平気そうな顔をしている。
「そんな豆鉄砲がこの鎧を通すものか」
「ウソー! しかも、全然驚かないし」
エリシアは後退しながらトリガーを引き続ける。しかし、弾薬を消費するだけでダメージらしいダメージは与えていない。
やれやれ、アドバイスが必要なようだな。
「エリシア、露出してる顔を狙うんだ」
「ん、わかった!」
エリシアは銃身をゆっくり斜めに構えてゲイリーの顔に銃弾を浴びせようとした。すると、ゲイリーはチッと舌打ちをしてエリシアから離れながら右側面へ移動する。
「逃がさないよ」
エリシアは移動をし続けるゲイリーを追うように銃身の向きを変える。しかし、それだけ気を取られていると……。
「ふぉふぉふぉ、油断大敵といつやつじゃ」
バルザックの杖の先に凝縮されている魔力から雷撃がほとばしる。
「アークサン……ぐほぅ」
先回りした私は詠唱される前にバルザックの背中を槍の柄で小突いた。
「ぐ、う、いつの間に」
バルザックが後ろを振り向いたが、既に私はそこにいない。
「バルザック! 正面だ!」
ゲイリーが移動しながら呼び掛けたが、私はそれより早くバルザックの胸の中心を槍の柄で突いた。
バルザックが胸を押さえながら崩れるように倒れる。
「若いのよ、老体を……労って……くれぃ」
そして、バルザックは仰向けで胸を押さえながら目を閉じた。やられたついでに寝ようという算段のようだ。
まず、一人。
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