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「でも、ほんとに変わってるよな、お前」
「なあに、藪から蛇に。褒めても何も出ないわよ?」
「褒め言葉だと思うのか? てか、藪から蛇にって何なんだよ」
「あら、意外と無教養なのね? あれよ、“いきなり”とか“唐突に”みたいなやつよ」
「だったら『藪から棒』だろがよ。どっちが無教養だコラ、『藪蛇』と混ざってんじゃねぇか」
「やぶへび?」
「余計な事して失敗した、みたいなやつだよ。てか、何でこっち知らねえんだ。どっから“蛇”が出てきた」
「あらあら、これはとんだやぶへびだったわね」
「上手い事、結果オーライのまとめしてんじゃないよ。だからどっから“蛇”が出てきた」
「だから、藪からでしょ?」
「……うん、だから『藪蛇』なんだけど、その『藪蛇』という言葉を知らなかったお前は何で『藪から棒』の“棒”が“蛇”に変換されたんだ?」
「そんな事、私が知る訳ないじゃない。何となく?」
「……凄い確率だな」
「で、なあに? あたしが変わってるって、その事?」
「今のはそのフリの後の話だろがよ」
「はいはい、どうせあたしが悪いんですよ。あ、お醤油取って。あたし鼻詰まりかしら、この煮物全然味がしない」
「……やっぱり味がなかったのか、これ」
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