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少年の切羽詰まった表情に、笑い姫が訊ねます。
笑い姫「妹さんはご病気?」
少年「い、妹が風邪で…お願いだ!!助けてくんろ!!」
笑い姫「風邪くらいで大袈裟過ぎるよー!!」
笑い姫はまた笑いだします。
笑い姫の国では医学が進んでいたので、風邪位ならみんなすぐに治ってしまうからです。
しかし、少年があまりにも頼むので、笑い姫は国の優秀なお医者さんを数人連れて、少年の村まで行く事にしました。
笑い姫「馬車には積めるだけの財宝も積んだし、薬もたくさんあるから大丈夫よ♪」
道中、そう言って少年を元気付けようとしましたが、少年は少しも笑いませんでした。
少年の村は、隣の国との国境の近くで、笑い姫の国の人々も誰もその場所を知りませんでした。
少年に案内されて、村に着くと家は藁葺き、農具は石と木の枝で作られ、村人はみんな毛皮や腰布を巻いていました。
家畜もなく、村人達はみんな痩せ細り、金銀財宝を乗せた笑い姫の馬車を力無く見つめているだけです。
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