異世界での邂逅

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      -2- この世界には時の経過を決める基準がない。 夜と昼の一日がない。時を刻む時計もない。健太の腕時計も止まっている。 ドゥンヌの世界にも時間の概念はあったが、この世界に来てからどのくらい経過したのか分からなかった。 時間に縛られるのが当たり前な世界に生きて来た健太には、時間が判然としないこの世界は苦痛であった。 だから大まかではあるが、感覚的に一日が経過したと思ったら、いつも持っている手帳に、正の字を書いて記録することにした。 健太達は、出口を求めて歩き始めたが、周囲への警戒は怠らなかった。 ドゥンヌは敵からの急襲を避ける為に。 健太は敵に会った時に、戦闘ではなく、話し合いへの先手を打つ為に。 健太には考えが有った。 以前と同様に何の手段も持たず、闇雲に歩いても意味がない。 この世界にいる他の人間に会って、情報を集め出口を探す。 他の人間もこの世界に迷い込んだ。 だから俺達と同様に自分の世界に帰りたい筈だ。 利が一致する。仲間になれる。 仲間は多い方が良い。早く敵に会いたいと健太は思った。 2人の脳が危険信号をキャッチした。 慎重に辺りを見回した。健太はドゥンヌを見た。 ー誰だか分からない奴とテレパシーが出来るか?ー ーやったことがない、分からないー 健太はスピーカーみたいなものかと思い、音量を上げるように、強く思い、脳波 を発信してみた。 ー誰かいるか? 俺達は敵じゃない、姿を見せろー 辺りを見回した。何の反応もない。何度も発信した。 危険信号が複数になった。 しばらくして、突然岩陰から二人の人間が出現して、こぶし大の石を投げ付けて来た。 野球であったら、140キロ台の速球だ。 格闘家の健太と戦士のドゥンヌの反応は早い。 難なく速球をかわした二人は攻撃に転じた。 とても話し合いの出来る状況ではない。 右側の敵には健太が、左側の敵にはドゥンヌが対した。 健太の相手の身長は健太より少し小さい程度、身長的には互角であったが横が太い。 健太は突進した。相手も突進して来た。 両者とも勢いを落とさない。 そのまま衝突すると見えた瞬間、健太は右に体を変化させた。 体当たりして健太にダメージを与えて優位に立とうして満身の力を込めていた相手は、対象を失い勢い余って健太に背を向けた。
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