142人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
*
痛い、痛い。
体も心も荒み切って、もうボロボロだ。
それでも愛の言葉を囁かれると、それは本当なのだと信じ込んでいた。
信じ、微かな希望を持っていた。
だから私は、初めて私を好きだと言ったハジメ先輩に、気を許したんだ。
「俺は、光(ひかり)のことが好き」
泣いて、飛びついたのを覚えている。
私には、この人しかいない。
両親の死後、親戚をたらい回しにされた私は、街の養護施設に預けられてしまった。
私は本当の″愛″という感情を、知らないまま、大人になろうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!