4人が本棚に入れています
本棚に追加
「見て分からないからあたしは、聞いているんだよ
巣を壊された訳でもないのに毎日毎日、
あんたは糸を編んでいる」
「ああ、なるほど
わたくしが糸を編んでいる理由が気になるのですね?
それは……貴女と一緒ですわ」
ジョロウグモは、そう言うとまた黙々と糸を編んでいきます。
「あたしと一緒?
あんたと一緒なんて聞き捨てならないね
何があんたと一緒なんだい」
カマキリは、ジョロウグモの上から目線な態度にムッとしながら質問を質問で返します。
短気なカマキリと違いジョロウグモは、落ち着いた口調で質問に応えました。
「貴女は、恋をした事があるかしら」
「恋?」
「ええ、人に恋ですわ」
ジョロウグモは、頬を赤らめにこやかに笑みを浮かべます。
「人間に恋だ?
お前は、頭がおかしいのかい
あんたは、クモなんだよ
クモが人間に恋だなんて……」
カマキリは、ジョロウグモを馬鹿にして笑う事さえ出来ました。
しかし、クモの暗い闇の底のような眼に
カマキリは、口を閉じると森の中へと消えるのです。
最初のコメントを投稿しよう!