第七章 庭に咲く生首2

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「ああ、同じ部屋に泊まっている。 帰って来たばかりで、風呂に入っていた」  どうして同じ部屋なのか?どうして、そんなに遅い時間なのか、 琥王から質問が次々にやってきた。 「仕事」  俺が、そう言って電話を切ると、再び琥王から電話が掛かってきていた。 仕事以外ではない。言い訳も考えたくない。  電話の電源を切ってしまうと、大黒の電話が鳴っていた。 「……琥王からだね」  大黒は、全く気にせずに鳴らしていた。 「明日、加地家の庭にタヌキを設置してから帰る。 もう手配はしている」  加地の家は、戦国時代に戦に負け、 戦没者を弔う事さえも禁止されてしまった。 でも、庭の石を墓石にみたて、供養していたのだという。
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