第七章 庭に咲く生首2

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「琥王。土産。 保冷剤を入れてきたけど、牧場の取れたての牛乳」  琥王は、いつも牛乳を飲んでいた気がした。 「牛乳……?」  椰弥が、吹き出して笑っていた。 「琥王、いつも薬師神君の前で牛乳飲んでいたのか……健康的!」 「薬師神のパンに合うからだよ」  俺は、琥王のことは何も知らないのかもしれない。 こうして、妹と喋る琥王は、どこか別人に見えた。 「じゃ、土産を渡しに来ただけだから。 俺、これから出かけるし」  玄関を出ようとすると、琥王が素足のまま走ってきた。 「待った。どこに出かけるの?」 「荷物の整理だよ。 本棚とか、購入してしまって整理しろって怒られている」  塩冶様が運搬を手配してくれていたのだが、 大黒が、自分が頼んだものだからと、全部引き取ったのだ。 そして、俺は大黒に整理しろと怒られてしまった。
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