第八章 福来大黒二号店

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「俺の彼女に聞かせたいよ。 いつもパン、先にパン、って、怒ってばかりいたよ。 彼女は、いつも一番に考えないと、怒る。 でも、可愛くて頭が良くて、一緒に居ると楽しかった」  初めて彼女と言った気もする。 「楽しかった?過去なの?」  椰弥が、泣くのを止めて俺を見ていた。 琥王も部屋から出ると、パックのままで牛乳を飲んでいた。 「うん。俺が悪かった。 どうしても、今の高校に行きたくて、彼女に相談もしていなかった。 受験日になって、どうして一緒じゃないのって聞かれた。 今の高校、俺の死んだ両親が出会った場所だった。 だから、親と、同じ年で、同じ景色を見て見たかった」  そこで、琥王と出会った。
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