第八章 福来大黒二号店

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「琥王。ごめんな、大変な時に居なくて。 まあ、俺、何もできないけどさ」  琥王が、大きく手を広げて、ハグしてきた。 俺は、慌てて椰弥を見て、じたばたと逃げ出した。 「俺は、薬師神にかっこ悪い所を見せたくなくて、避けていた。 俺の友人って、殴りたい奴もいるよね……」  俯く琥王の自嘲気味の表情が、悲しい。 「そうね……琥王の類友だよね……」 「……薬師神……」  琥王は、かっこ悪くなんてない。 こうして、妹の椰弥に慕われ、応援されているではないか。 「それと、椰弥ちゃん。好きだよ、琥王と同じくらいに。 だから、又、話そうね」 「俺と同じなのか?俺の方が、上ではないのか?」  琥王は、真っ赤になっていた。 でも、椰弥は、にっこり笑っていた。 誰かに嫌われても、 世界中が嫌いと言っているわけではない。 こうやって、守って、笑わせてあげたいと願う兄も居る。 俺も、琥王がいなければ、 椰弥のまっすぐな性格に惹かれていたと思う。
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