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「琥王。ごめんな、大変な時に居なくて。
まあ、俺、何もできないけどさ」
琥王が、大きく手を広げて、ハグしてきた。
俺は、慌てて椰弥を見て、じたばたと逃げ出した。
「俺は、薬師神にかっこ悪い所を見せたくなくて、避けていた。
俺の友人って、殴りたい奴もいるよね……」
俯く琥王の自嘲気味の表情が、悲しい。
「そうね……琥王の類友だよね……」
「……薬師神……」
琥王は、かっこ悪くなんてない。
こうして、妹の椰弥に慕われ、応援されているではないか。
「それと、椰弥ちゃん。好きだよ、琥王と同じくらいに。
だから、又、話そうね」
「俺と同じなのか?俺の方が、上ではないのか?」
琥王は、真っ赤になっていた。
でも、椰弥は、にっこり笑っていた。
誰かに嫌われても、
世界中が嫌いと言っているわけではない。
こうやって、守って、笑わせてあげたいと願う兄も居る。
俺も、琥王がいなければ、
椰弥のまっすぐな性格に惹かれていたと思う。
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