第一章 彼岸の花

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 一袋、十キログラムから二十キログラムの粉の袋を運び入れながら、 パンを焼いてゆく。 小麦粉とくくってしまったが、その種類は多く、 又、芽実が産地にも拘っているので、又種類が増えた。 このパンには、この産地(メーカー)のものとか、 指定があるのだ。 「一弘君、薄力粉も運んでね」  夜の内に、準備もしているのだが、 朝の忙しさは、短距離走のスピードであった。 俺は、パンも焼くが、主に重労働も担っていた。 スケジュールを確認しながら、 次に必要な材料を取り出しやすいように並べておく。 「一弘君、食べたいパンはある?」  仕事の合間に、芽実が声を掛けてくる。 俺は、フランスパンの類が好きであった。
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