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「フランスパンで、ハムサンドが食べたいです」
「造っておくね」
芽実の横では、長年働いている、
飯沼が無言でパンの生地を切っていた。
飯沼は、今年五十歳になる男性で、
芽実がパン屋になったときに、協力してくれた人であった。
飯沼は、元は有名なパン屋の職人であったが、
森のくまが試行錯誤しているのを見て、アドバイスをしているうちに、
働くようになっていた。
森のくまを支えている、重要な人材であるのだが、
非常に無口であった。
「一弘君、飯沼さんの材料も入れてね」
女性ばかりの職場で、飯沼は異質ではあるが、
尊敬と信頼を置かれていた。
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