第一章 彼岸の花

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 店頭に客が並び、入場制限をしながら販売するのは、 森のくまの日常であった。 店内も狭いので、入場を制限しないと、 動けなくなり余計に時間もかかってしまうのだ。 それと、森のくまのパンを、よく見て選んで欲しいという、 芽実の願いも込められていた。 「一弘君!学校!早く!お弁当を持ってね」 「はい!」  走って倉庫を出ると、並んでいる客が一斉に俺を見る。 俺は、服を着替えながら通路を走り抜けて、 店番をしているくまのぬいぐるみにぶつかる。 ぬいぐるみが抱えている、本日のおすすめの看板を落とし、 直そうとしていると、他の店員に怒られる。
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