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「一弘君、乗り遅れる!
ここは、いいから走って!」
「はい!」
ここまで、ぎりぎりでなくてもいいと、芽実にはいつも言われているが、
気が付くと時間を過ぎているのだ。
駅の改札を走り抜け、そのまま電車に乗り込む。
空いている席を見つけると、爆睡するのが俺の日課であった。
二駅ほど過ぎると、
同じ学校の檮山 琥王(ゆすやま こおう)が電車に乗ってくる。
俺は、この琥王と出会うまで、友人と呼べる者はいなかった。
「おはよう、薬師神。今日も、爆睡ね」
琥王は、俺が爆睡していても、全く気にせずに話しかけていた。
俺には、人に言えない事情がある。
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