悪い男【美佳×芹沢】

10/11
1131人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「……邪魔はしないんじゃなかったかな?」 「しませんよ? けど私と春妃が一緒に帰るのはいつものことですからね」 性懲りもなく春妃に会いに来た男と互いに笑顔でにらみ合う。 春妃は意味がわからずに首をかしげていた。 邪魔はしないとは言ったけど、協力するとも言ってない。 誰が二人きりになんかするもんか、と内心で舌を出した。 男はつまらなそうに唇を尖らせて、それでも私と春妃の二人を車に乗せる。 拗ねた表情は正しく子供。 まるで、気付いていないのだ。 彼が探しているのは、一途な女の子などではない。 私と同じ。 自分の中に生まれるはずの、恋心。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!