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「……邪魔はしないんじゃなかったかな?」
「しませんよ? けど私と春妃が一緒に帰るのはいつものことですからね」
性懲りもなく春妃に会いに来た男と互いに笑顔でにらみ合う。
春妃は意味がわからずに首をかしげていた。
邪魔はしないとは言ったけど、協力するとも言ってない。
誰が二人きりになんかするもんか、と内心で舌を出した。
男はつまらなそうに唇を尖らせて、それでも私と春妃の二人を車に乗せる。
拗ねた表情は正しく子供。
まるで、気付いていないのだ。
彼が探しているのは、一途な女の子などではない。
私と同じ。
自分の中に生まれるはずの、恋心。
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