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私に近付いて外堀から埋め少しずつ近付こうとしているあたり、春妃の性格をよくわかっている。
だが、手を出したら終わりだ。
それを私が春妃に話したら、彼女は二度と芹沢さんには気を許さない。
「ほんとだねえ、困ったな」
悪びれもせずそういうこの男の、神経を疑ってしまう。
抱き合ったばかりの相手に対し、少しくらい取り繕う真似事でもすれば可愛げもあるというのに。
上布団を引き上げて、胸元を隠しながら上半身起き上がらせると、煙草を吸う男の横に並んで宮にもたれかかかる。
くしゃくしゃに乱れたベッドのシーツを見下ろして、深く息を吐き出した。
どうかしているのは私の方だ。
こんな簡単に、テリトリーに入れてしまうとは。
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