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不意に頬に指先が充てられて、隣を見上げた。
その指が肌を滑るだけで、心臓が一際高鳴る。
最初に春妃の後に送られたあの夜と同じ。
突然別れ際に触れた指先に、ぞくりと身体を何かが突き抜けた。
「……なんですか」
あの日は、そこであしらう余裕があった。
なのに今夜は、こうしてベッドの中にいる。
酒効果もあり。
けれど理性はちゃんとあった。
「いや、共にしたベッドの中で女性にため息つかれるのは中々に屈辱だなぁと。満足するまで、お相手しようか?」
ほんっとに、ろくな奴ではない。
「呆れる……さっき言ったこともう忘れたんですか?」
「だけど、君は言わないだろう?」
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