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覆い被さり私の首筋に唇を充て滑らせる、最低最悪の、この男。
けれどもなぜか嫌いになれない理由に、私は気がついていた。
「……もう! 今夜はおしまいですよ、明日も仕事ですから」
「なんだ……」
男の肩に手を当てて押し返すと、呆気なく距離はできた。
もぞ、と布団に潜り込んで顔だけだして男を見上げる。
「いいですよ、黙っててあげても。ただひとつだけ、条件がありますけど」
「なに?」
条件など飲まなくても、私が春妃に言わないだろうと男は思っているだろう。
だけど、それでもきっと、乗ってくる。
そう思った。
「春妃をおとしたいなら、ちゃんと心を伴わせること。それだけです」
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