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煙草の香りが漂う。
元を辿ると男は傍らで紫煙を燻らせている。
その表情からは、いつも春妃に見せているどこか惚けた優しげな笑顔は鳴りを潜めていた。
この男の、考えることはわからない。
「意味がわかりませんね」
「ん?」
疑問をそのまま口にした。
彼が間宮さんの彼女である春妃狙いであることは、話には聞いていたが。
それを今夜、尚更確信した。
私に触れた手や表情からは愛情のようなものなど欠片も感じられず、ただの手順にしか思えなかった。
抱かれることで確信し、しかしその意図がわからない。
「私に手を出したら、春妃は絶対に落ちませんよ」
それくらい、予測がつきそうなものだろう。
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