第一章ー春、自称“犬”ー

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他愛のない会話は一時間ほど続き御昼の三時くらいに緑地から出た。帰り道にたい焼きを三時のおやつにとせがまれたが今朝五匹も食べておいてなにをいうかと一蹴。そんなペースでたい焼き食べられたら破産するよ、あと神楽さんがいると考えるだけで行き難い。 「晩御飯なんにする?」 「お昼ご飯がまだ」 「あー、そうだったね。じゃあ、お昼どうする?」 「たい焼き」 「……ほんとーに好きだね」 「たい焼きがあれば他の和菓子はいらないわ」 「全国の和菓子職人を敵に回すぞ、その発言」 お団子もお饅頭もあとあれやこれやを端正込めて作って下さってるんだから。和菓子はたい焼きだけじゃない、沢山美味しいのある、あんまり食べたことないけど。 「分かった、分かったよ。日に二度も同じ店に行って、あ、あの人また来てるよとか陰口叩かれるのも恐れずにいくよ」 「緋色はおっぱいが好きよって教えてあげないと」 「教えてあげなくていい、なんだ?遠間しに僕から女の人を遠ざけようとしてるのか?ヤンデレさんか、ヴァイスは」 「違うわ、デレデレよ」 「度が過ぎたらヤンデレるの!そのままでいてください、素敵ですから。あと、神楽さんは普通の友達だし、うん」 デレデレ要素はここまで皆無な上に途中から小馬鹿にされてばかりだけれど取り合えず素敵だと褒めておく。 「たい焼きください」 「はーい、ありがとうございます。お客様」 神楽屋に到着して店員さんにたい焼きを注文。オーダーを取ってくれたのは神楽さんであった。休みの日だけ御店のお手伝いをしている優等生で僕のクラスメイト。 なのだがにこーっと営業スマイルのまま数を確認され厨房へ戻られた。凄い、傷付いた。 「緋色はおっぱいが好きよ」 「やめいっ!誰もいないところで暴露するな!」 「次は確り伝えるわ」 「次はない、お預けくらわして全部僕が目の前でたい焼き食べちゃうぞ。このだめわんこ」 「おっぱい好きの御主人様」 駄目だ、口を開くたびにおっぱいおっぱいと。女の子なんだからおっぱいを連呼しないのとイートインスペースに座りお説教をする。 このままだと僕の身が滅びかねないもの。
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