第一章ー春、自称“犬”ー

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「ヴァイスって、食くべるよね」 「そお?」 「うん、普通そんなに甘い物ばっかり食べられないんだけど。甘い物に限らなくてもご飯もいつもおかわりしてくれるし作る身からすると嬉しいよ」 「緋色の料理が美味しいの。つい食べ過ぎちゃう、あとたい焼きも美味しい」 身長が低い、訳ではないけれどヴァイスのどこにあんなにも甘味が吸収されていくのかが不思議でならない。やはり一段と大きい胸に栄養が回ってるのだろうか。 ふうん、太股もいいな。 是非、膝枕をしてほしい、太股だ。 「美味しかった」 「え?もう食べたの?追加分まで?」 「もうお腹いっぱいよ」 「そっか、お腹いっぱい食べられるのは幸せなことだよね。さて、長居しちゃ迷惑だろうし帰ろうか」 こくんと頷くヴァイスと共にお店を出た、騒々しく道路を行く車を横目に歩道を歩きまったりと帰宅。到着したのは午後四時、帰宅するなりヴァイスが自らの着替えを最優先に行うのもここ数日の同居でなれた。 直ぐに脱ぐんだよ、ズボンと上着を。ちゃんと畳んでタンスに戻すから問題ないといえばないけれど人目を気にしてほしい。 「その服装、なんと言うか。僕には刺激が強いんだけどもう少し隠してくれないかな」 あの格好でだらけられると色々見えて見えて仕方ないのだ、ぱんつとかぱんつとか。ぱんつとか。 「裸Yシャツの方がいい?」 「隠せって言ってるの!下着を外せなんていってませんでしょ!」 「ふふ、緋色はからかいがいがあるわ。でも、いやよ、この格好がいいの」 「いつか我慢出来なくなって襲っても文句いわない?」 「責任とってくれるならおっけー」 それは……無理だな……我慢しよう。 いや、ほらね、経済的に不安定だからさ。ちゃんとした職業に就かなきゃ誰かを養っていくことは出来ないわけで僕に将来性があれば、考えよう。どちらにしろ、ヴァイスは僕が養っていかなくてはならないのだけれど。
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