第一章ー春、自称“犬”ー

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「あー、幸せだー」 「私も幸せー」 いつの間にか、するりと僕の膝に腰を下ろしている。壁に凭れぼーっとどこかを見詰めふたりでまったり撫で撫でタイム、撫でてるのはこちらばかりだがそれはそれで幸せなので問題なし。 凄く、落ち着く。どうしてだろうか、性格上、女の子に膝に座られるなんてシュチィエーションは体が受け付けない筈なんだがこれがヴァイスだと話が別でとってもとっても癒されるし落ち着く。 無心になるというか、ほのかなヴァイスの甘い香りとつるつるとした髪の感触にふわふわの尻尾。ここは天国か、マジで。 「んんっ、緋色。そこはっ」 「えっ、ごめん。なに?どこか変なとこ触った?」 急に艶っぽい声を出され慌てて両手を離す。どこを触っただろうかと頭をフル回転させるが怪しいところを攻めた覚えはないがこの反応は触ってしまったのだろう、なにかしらを。 「尻尾、付け根は敏感だから」 「あ、ああ。そっか、神経がいっぱい通ってるんだっけ?ごめんね、気付かなかった」 「えっち」 「次からは気をつけます」 日に何度かこんな感じの時間がある。暇な日は特にこうしている事が多くなんだかんだ言っているがやはり甘えたさんなんだなと実感させられる。無知だったとはいえ敏感な部分に触れてしまってもまだそこにいてくれるのだから間違いない。 「そろそろ、寝ようか」 「うん、眠い」 ふぁーと口に手を当てて大きなあくびをする。ひょっとすると、とっくに眠かったのに僕がふにふにしてるから待っていてくれたのだろうか?だとすれば悪いことをした、時刻も九時半と普段ならヴァイスは眠っている時間だ。 「ごめんよ、付き合わせちゃったみたいだね」 「ううん、緋色は撫で撫でも上手だから。力が抜けて、眠くなっちゃっただけ」 「そう?なら良かったけど」 じゃあ、おやすみと各自布団とベッドに寝転がり消灯。また、明日を迎える為に今日も眠る。
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