第一章ー春、自称“犬”ー

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   一頻り構ってやると満足したのかふみゅわーとベッドに寝転がって足をパタパタさせ始めた。ズボンもスカートも穿いていない低防御力で破廉恥な服装で足パタパタは無防備が過ぎる。 慌てて下に穿くものを探し取り合えず学校指定のださいジャージを穿かせた。色は赤色で上着がYシャツの白、どこの紅白饅頭だとつまらないツッコミははまらず首をかしげられハートブレーイク。 大人しく家事に移行した。 「まずは洗濯、洗濯っと。なにか洗うものはある?」 「ちょっと待って」 身をお越し背に手を突っ込む。器用にブラジャーのホックを外してシャツを脱がずに下着だけを脱いでこちらへパス、触って良いものかと永遠にも思える滞空時間で悩んでいると更におぱんつ様が投げられブラジャーは掴んだもののおぱんつ様が顔面に直撃されるハプニングに見回れた。 「へんたい」 「男子の前で平然と下着を上下外して投げつける女子にだけは言われたくねぇよ!」 「緋色が洗うものだせっていうからだしたのに。ぶぅーだ」 「何故に機嫌を損ねるのですかねぇ……確かに洗濯物出してとはいったけど投げろなんていってないしましてや下着を脱げなんていってない」 「服も脱ぐ?」 「脱がなくていい」 胸中に立ち込めるモヤモヤを溜め息に変え吐き出し扉を潜る。初めましての頃はボタンばっかでちんぷんかんぷんだった洗濯機さんとも今では立派な友達だ。洗濯物を詰めて洗剤を適量投入、ボタンをポチポチっと操作して部屋に戻るとわんこが僕の枕に顔面を埋めてすぅはーすぅはーしていた。 大手掃除機メーカーもビックリの吸引力だ。ハスハスしてる、くんくんしてる、あれは完全に匂ってる。
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