第二章ー緋色とーーちゃんー

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「あれ、君は……どこかで……」 不意に声をかけられ振り向く、高身長に整った顔立ち。優しそうな顔つきとおおらかそうな雰囲気、僕とヴァイスが座る席の前で立ち止まっている。きっと、どちらかの顔に心当たりがあるのだろう、僕は見覚えがない。 そもそも、男友達なんていない。 ええ、女の子の友達も少ないですよ。友達がいないだけなんですね。となるとヴァイスかなと確認するが瞳をパチパチさせているだけでなんの反応もない。 彼の視線もまた、ヴァイスではなく僕に向けられている。 「ひょっとしてだけど深山(みやま)孤児院って知ってる?」 「え、まあ。どうしてですか?」 「ああ、やっぱり。君、黒井緋色くん、だよね?俺は春日大河(はるひ たいが)、覚えてないかな」 深山孤児院は僕がお世話になっている孤児院だ、深山というのはオーナーの名前ではなくそのまま深い山奥にあるから深山という。自然の沢山ある環境でストレスなく子供達が遊び回れる場所を、がコンセプトだったらしいけれど実際は不便で仕方ないだけだった。 「い、いや。孤児院時代の僕の事を知ってるなら分かると思うけど、その。あそこ、嫌いだったからあんまり覚えてないかな」 「そ、そっか。まあ、そう、だよね。君はそういう子だった、ね。じゃあ、改めて自己紹介しよう。俺は春日大河、深山孤児院出身で今はこっちの高校に通ってているけど将来の夢は俺を育ててくれたあの孤児院で働きたいと思ってる。どうぞ、よろしく」 差し出された手を握り返す。 黒井緋色、ですとぎこちない挨拶をして。
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