1章 僕の楽しい日常

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 S駅西口と空中歩道はここのシンボル的存在だ。少し離れたここからでもその大きさが分かる。    この辺の店はアーケードと違って繁盛していた。うらやましい限りだ。    目の前のタイ焼き屋さんなんて行列が出来てる。     「お兄ちゃん」    カズ美が僕のパーカーの裾を引っ張る。どうやらタイ焼きが食べたいようだ。     「カズ美は本当に甘い物が好きだな」    すぐに並んだけど本当にタイ焼きを買っても良いのか僕は迷った。    なんせそのためにマンガを一冊あきらめる事になる。ビンボー学生だからその辺はシビアだ。校則でバイト禁止だし。    もしバイトしてればスマホ買えたし靴も偽クロックスじゃなくて本物を履いていた。      タイ焼きを注文する時、僕は涙目だったかも知れない。    そんな貴重なお金で買ったタイ焼きの一つを妹に渡す。     「ありがとう」    それを両手で受け取った妹の今日最高の笑顔。すごい可愛い。やっぱり買って良かった。    そんな妹の頭をなでる。至福のひととき。     「そこのベンチで食べるか?」   「うん」image=498929957.jpg
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