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そこでハトが飛んでるのが見えた。駅前はハトが多い。
そのうちの一羽が僕の顔にぶつかりそうな勢いで向かって来た。
「うわっ!」
そしてもう一羽。僕は尻餅をつく。ってかハトの集団が次々と僕に体当たりをして来た。一体僕に何の恨みがあるんだ!?
そうだ妹は?
ハトの攻撃をかわしながらカズ美の姿を見つける。
ベンチでタイ焼きを食べてた。
いや妹が無事ならそれで良い。
「あっ!?」
手にあったハズのタイ焼きが無い。ビンボー学生のお金で買ったタイ焼きが?
ハトが持ってた。
「この野郎!」
タイ焼き屋さんの旗を引っこ抜いて僕はハトに向かって振り回した。
「バカ野郎!危なねぇじゃねーか!」
知らないオヤジに怒られた。
地面にヒザをつきうなだれる僕。
そんな僕にタイ焼きが差し出された。
「お兄ちゃん。私の残りで良かったら食べて」
「ううっ。カズ美。この恩は一生忘れないぞ」
そのタイ焼きはしっぽだけになっていた。
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