2章 僕の異常な日常

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 いつも通り授業を適当に聞き流し昼休みに弁当を食べ次の授業で居眠りをし、先生に起こされ放課後は部活動をしているヤツらを横目に電車に乗る。    S駅に着いたら人混みをかき分けアーケードに入る。雨風をしのげるのに誰もここには入りたがらないようだ。    駅前のビル群は買い物客であふれていたのに、ここはすっかりシャッター通りだ。    それでもまだ変なにおいはしないし小ギレイなままだ。それに並んでる植木を手入れする余裕はあるようだ。      そんな事を考えながら歩いていると、ほへと横丁の前まで来た。この狭い路地に入る前に買い物がある。    路地の横にあるこがね堂という本屋に歩を進め、そして店の前で足を止めた。    そこには8月末で閉店する事を知らせる貼り紙があった。     「マジかよ」    小学校に入る前から通っていた本屋だけあって、そんな声を漏らしてしまった。      とにかく店内に入る。    目当ての少年向けマンガ雑誌を手にし、レジに行く。9月からは、この雑誌はコンビニで買う事になる。駅前にもあり過ぎるくらい本屋はあるけど、そこでは買いたくないな。    店内に客は僕しかいなかった。レジには顔なじみの店長のおじさん。     「表の貼り紙、見た?ここも潰れる事になったよ」    店長はさみしそうにつぶやき雑誌を袋に入れる。    高校生の僕にそんな事を言われても困るがここは何か良い返しをしないといけないだろう。     「ウチの果物屋と比べたら頑張った方ですよ」    これじゃあグチを言う流れになってしまう。     「そうかもね。お父さん元気?」   「ええ。今はパチンコ屋で働いてます」    いや本当は客として行ってて、昼から酒を飲む毎日なんだけど、それは流石に言えなかった。     「そうか。仕事が見つかって良かったね。    有矢くんも頑張ってね」   「あ、はい。頑張ります」    ウソをついた後ろめたさもあって早めに店を出た。image=499279041.jpg
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