第1章

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 5時間近くにも及ぶ卒業式が終わった。女子のほとんどと男子の一部は別れを惜しんで泣いていたりもした。  そんな事を思い返していると目の前にいる女の子から声を掛けられる。 「あ、あの、初めて会ったときから好きでした! 付き合って下さい!」  誰もいなくなった教室にその女子の声はよく響く。  突然だが、オレは高校一年の頃から部活で弓道をしていた。何故だか、部活をしていると女子達や男子達から『カッコイイ!』や『尊敬してます』など言われ度々告白もされた。  そして、卒業式の今日が訪れた訳で予想はしていたのだがこの子でもう10人になる……。あぁ、答えなきゃな、そう思いながら口を開く。答えは決まっているのだ…… 「すまない。オレは女だから君の想いには応えられない」  オレの言葉を聞くと、泣きながら『ありがとうございました』と言い走って教室が出ていった。  罪悪感を感じながらも後何人でこれが終わるのかと憂鬱になる。        ー完ー
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加