2人の居残り

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「これ分からへん…」 さっきからあいつはこの言葉しかつぶやいてへん テストやから教えるわけにもいかん でも… そんな顏で言われたら 誰だって教えてまうやろ… 「なあ…ここ教えてや…」 あいつは俺の顔を上目使いで見てそう聞いてくる 「え…じぶんでやらなあかんやろ」 ほんとは教えてやりたいけど… 「ええやんかw先生もおらんしwな!な!」 子供か そう心の中でツッコんだ 「ん…」 彼の可愛さに負け 俺は自分の解答用紙を見せた 「さんきゅ-!」 と小さい声で言い ひたすら俺の答えを書き写す 「もおええか?」 「あぁ-!あともう少しやから!」 先生来てまうて 「はいっ!終わったで!」 リスみたいなきれいな日本の前歯を見せて君は笑う 「お…おう」 そんな可愛い君を見て 解答用紙の隙間に 『好きやで。井本』 って書いたのは あいつには 内緒やで…
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