新しい靴を履いて
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帰り道は、靴ばかりに目がいった。きっと下ばかり向いていたから。 嫌いだった黒い靴を履きこなして歩いている。 そう思えた。 春一番を思わせる風が背中を押す。 まだ背中は曲がっているけれど、春になれば仕事も始まる。 下ばかり向いてはいられない。 私の前にもう孝之はいないが、それでも歩いていかなくてはならない。 新しい靴を履いて。
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