第1章

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月が明るい今夜、彼は息を切らせながら走っていた。 「ハァ、ハァ、ハァ。」 いったいどれくらい走ったのか、どのくらいの時間走っているのか、そんなことはどうでもいい。 暦的にはもう春だが、世間的にはまだ寒さが和らがない冬も同然の気温、しかし彼の格好は薄着で、周りは木々が生い茂る森の中、しかも裸足で彼は走り続けていた。 「ハァ、ハァ、ハァ。」 一旦足を止め、両肘に手を置き息を整える。 しきりに後ろを見ながらある程度息が整ったらまた走り始めた。 前を見ると木々の中から街の明かりがうっすら見えてきた。 あと少し・・・・・・ そう思いながら疲れ切った体に鞭を打つようにスピードを上げ彼は街へと続く道路に出た。 「やった。助かった。」 そう思った矢先、彼は膝から崩れ道路の真ん中に倒れこんでしまった・・・・・
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