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月が明るい今夜、彼は息を切らせながら走っていた。
「ハァ、ハァ、ハァ。」
いったいどれくらい走ったのか、どのくらいの時間走っているのか、そんなことはどうでもいい。
暦的にはもう春だが、世間的にはまだ寒さが和らがない冬も同然の気温、しかし彼の格好は薄着で、周りは木々が生い茂る森の中、しかも裸足で彼は走り続けていた。
「ハァ、ハァ、ハァ。」
一旦足を止め、両肘に手を置き息を整える。
しきりに後ろを見ながらある程度息が整ったらまた走り始めた。
前を見ると木々の中から街の明かりがうっすら見えてきた。
あと少し・・・・・・
そう思いながら疲れ切った体に鞭を打つようにスピードを上げ彼は街へと続く道路に出た。
「やった。助かった。」
そう思った矢先、彼は膝から崩れ道路の真ん中に倒れこんでしまった・・・・・
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