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『……ハッ!!』
と、そこで…
俺は、目を覚ました。
どうやら…
今まで夢を見ていたようだ。
体が、
思うように動かない。
「ここは…どこ?」
俺は、横になったまま辺りを見回す。
どこかの公園だろうか。
そんな風景が、周囲に広がっている。
結構、広い公園のようだ。
俺は…
今、自分が公園のベンチに横たわっていて、
服装がボロボロで粗末な物である事を知ってガク然とした。
その時になって俺は、
自分の事に関して何一つ覚えていない事に気が付いた。
自分の名前すら…
覚えていない…。
と、
「お、気が付いたか」
頭上から、しわがれた男の声がした。
見上げると…
ヒゲボウボウの一人の老人が薄笑いを浮かべながらこちらを見下ろしていた。
「…だ、誰?」
俺は、声をあげた。
どうやら…この老人、
身なりからしてホームレスのようだ。
じゃあ…
この俺は一体、何者なんだ?
ここは、どこなんだ?
自分は何で眠っていたんだ?
完全に、
記憶喪失状態…。
俺は、何とか起き上がって
「あの…
もしかして、俺はホームレスなんでしょうか?実は、何も覚えていないんですよ…」
思わず、聞いてみる。
「何じゃと?
アンタがホームレスかどうかなんて、ワシは知らんよ。アンタがこの公園でぶっ倒れてたんでワシがベンチに寝かしてやったんだぜ」
老人は、答える。
「本当に…本当に、
何も覚えてないんです」
俺は、混乱しながら頭を抱えた。
俺は、ホームレスなのか?
もしホームレスだとしたら、どういう理由で…と言うか、どういう経緯でホームレスになってしまったのだろう。
ホームレスになる前は、どんな生活を送っていたのだろうか。
「う~む…。
よくは分からんが、無くした記憶ってもんは、何かの拍子でスルスルッとイモヅル式に思い出すもんじゃないのかの。そう焦ったって使用がないじゃろ。とりあえず、ワシは『ノブ』って名じゃ。まあ、よろしくな」
ノブと名乗った老人が俺の肩を軽く叩いた。
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