1【自分】

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「はぁ…」 老人に生返事をしながら… 俺は、思い返す…。 今の今まで、自分が見ていた… あの『夢』の中の風景。 見渡す限りの広大な砂丘。 笑顔で、たたずんでいた美しい女性。 あれは、どこの風景なんだろう。 あの女性は、誰なんだろう。 あの女性…顔の造りや肌の色からして、どう見ても日本人じゃない。 って事は、あの風景は、どこか外国の風景なのか? もしかして俺は、過去に旅行か出張で海外に行ってあの風景を見た事が有るのか? 疑問ばかりが、 頭の中で膨らんで行く。 すると、 「ところで、アンタ。 住むとこ無いんじゃないのか?いろいろ思い出すまで、ワシと一緒に住むか?少し『家を増築』しなきゃならんが」 ノブさんはそう言うと、公園の隅の方をアゴでしゃくった。 そちらを見ると、 ダンボールで出来た小屋らしき物が有るのが目に入った。 ちょうど、小ぶりのテントくらいの大きさだ。 「は、はい!お願いします!そうさせて下さい!」 俺は、ノブさんに頭を下げた。 今の状況では、それしか選択肢は無いだろう。 「うむ!あい分かった!」 と、ノブさんはちょっとキリリとした顔になると… 「それじゃあ… アンタの名前は、当分『マモル』って事で良いか?ワシが好きな芸能人の名前なんじゃよ」 と、俺の顔を覗き込んで、また笑った。
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